NO MORE 映画マウンティング

主に新作映画について書きます。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ACT UPの教訓 『BPM ビート・パー・ミニット』感想

試写会当選したんで公開より一足先に観て参りました。カンヌのグランプリをはじめ世界の賞を総ナメにしたフランス映画『BPM ビート・パー・ミニット』。 啓蒙的なメッセージを込めようと思えばいくらでもできそうな題材。 「オーラルセックスを含む性交渉の…

やっぱり広瀬すずが好き『ちはやふる 結び』感想

青春映画の新たな金字塔として大ヒットした『ちはやふる』の二部作。後編の公開初日に本作の製作が発表される。 もうこのキャストでまた映画が観れるのならなんでもいい。それで満足。正直なところかなり無理した作りになってるし、そのあたりについても書い…

ピクサーの夜/アニメーションの最先端 『リメンバー・ミー』感想 

『アメリカの夜』という映画をご存じだろうか。フランスのヌーヴェルヴァーグを牽引したフランソワ・トリュフォーがアメリカ映画に愛を贈った作品だ。タイトルの「アメリカの夜」はフィルムを加工して昼に撮影したシーンを夜に見せる手法の通称。カメラの感…

原作読者もだまされる大胆な脚色 『去年の冬、きみと別れ』感想

映画のオチや展開が読めたかどうかで頭の良さを競う人たちっていますよね? ぼくは頭が悪いのでその手の人たちは苦手です。だから『メメント』とか『バタフライ・エフェクト』とか『ファイトクラブ』とかの複雑なストーリーを売りにする映画もあまり好きでは…

原作と比べてどうだったか 『坂道のアポロン』感想

原作は青春ジャズマンガの傑作『坂道のアポロン』(小玉ユキ)。 1960年代の長崎県佐世保を舞台に、家庭の事情で横須賀から転校してきた主人公、西見薫(知念侑李)と学校のはみ出し者、川渕千太郎(中川大志)、そしてその幼なじみでクラスの優等生、迎律子…

神さまは機械仕掛け 本人たちによる実録実演実話『15時17分、パリ行き』感想

ここ最近もっぱら実話ばかり撮っているクリント・イーストウッド。今回は2015年に起きたタリス銃乱射事件の映画化だ。タイトルにある通り、15時17分、パリ行きの列車、タリス号車内で起きたテロ事件。 テロリストは300発の銃弾を準備し、テロに臨んだが、勇…

スモール・イズ・ビューティフル 『ダウンサイズ』感想

人間が小さくなると社会はどうなるのだろう。ファンタジーではなく、この発想を現実的にアプローチした映画。まるで政治哲学の思考実験のようなテーマだが、内容はとってもコミカル。 主人公ポール(マット・デイモン)は、理学療法士。オマハの実家で妻オー…

R指定の再帰的ファンタジー 『シェイプ・オブ・ウォーター』感想

美女と野獣、かえるの王さま、シザーハンズ、ナウシカと王蟲、王とコムギなど、異形のものと人間のロマンス、ないし交流を描いた作品はたくさんある。いわゆる異類婚姻譚というやつだ。 異類婚姻譚でも古典中の古典ともいえる物語はアンデルセン童話の『人魚…